すべては対話で解決できる

SAPPORO ART DIRECTORS AWARD 2017 出品

5年前、そのとき世の中で起きていることに向けて作ったポスター。

船が「話している口(白い部分は歯)」の形になっているのがわかるかな?

世界の国々が共に手を取り合って言葉の船に乗り、荒波を乗り越えていることを表現しているのだけど、

今の世の中に起きていることに対しても同じ思いでいる。

18日ぶりの再会

介護認定の見直し調査訪問の連絡票が届いたので、

今は施設ではなく病院に入院していることや、

私がそれっきり会えていないことを伝えたら同行を許してもらえた。

やっと やっと 会える!

嬉しい反面、もしかしたら私のことが分からなくなっているかもしれないと思った。

何せ病院に搬送する前日、私に面と向かって

「なかいれいに電話する!なかいれいに電話する!」

って何度も何度も言ったから。

その時はその時だ。私は覚えているんだから、私さえ忘れなければ大丈夫。

しばらくフロアのロビーで待っていたら、車椅子に乗せられてやってきた。

両手にグローブを嵌めさせられていた。なんでも経口チューブを自分で抜いてしまい、また誤嚥の恐れがあるからとのこと。

スネにものすごい痛々しい擦り傷。たった今、車椅子に乗せる際に擦りむいてしまったらしい。肢体不自由の大人の男性をベッドから起こして車椅子に乗せるのは、看護師2人がかりでも大変だということを物語っていた。

認定調査が始まった。

調査員の質問に、自分の名前はなんとか言えたけど、

生年月日や、

年齢や、

今の季節・・

ここはどこか・・

は、答えられなかった。

それから、

左目が見えなくなっていた。

でも、

私の顔は覚えていた!

私が誰かは忘れていなかった。

ぎゅっと、力強く手を握り返してくれた。

帰り際に「早く元気になろうね。退院したらおすし食べに行くよ!」と言ったら、

にっこりした。

今日、初めて笑った。

ワークショップ「マールとお花見しよう♪」

桜並木の場面にメッセージ付きの桜のカードを貼り付けて、どんどん桜を咲かせましょう
参加された方にはお一人様に1個、オリジナル缶バッチをプレゼント(対象:中学生以下、各日先着30個)

【日時】 3月19日(土)・20日(日)・21日(月・祝)①11:00~12:00 ②13:00~15:00
【場所】ツインアーチ138 第一エレベーター附室
【参加費】 無料(ツインアーチ138利用料は必要)

詳細はこちら

私の頭の中のお天気

目が覚めた途端

時計の文字盤が頭に浮かぶ

でも

時針も分針もなくて

今は何時なのか分からない

それから少しして

今度は

不安の雲が頭の中にいっぱいいっぱい押し寄せて

それがどんどん真っ黒い雨雲に変わって

涙の雨が降る

泣きじゃくる声は雷みたい

頭の中で

曖昧なお天気キャスターがいう

「このぐずついたお天気はしばらく続くでしょう

でもいつか

きっといつか 晴れるでしょう」

苦肉の選択

様子がおかしいので、気になり救急車で病院に連れていったのが、2月27日。左脳幹梗塞がみつかり、まさかのそのまま入院になってしまう。

主治医の先生に「血液をサラサラにする点滴を1週間ほど投与するので、最低でも1週間、恐らく1ヶ月くらいは入院です。」

ただ脳の中にたくさん本人の気づかないうちに小さな脳出血もしていて、その点滴のせいでさらに脳出血を起こすリスクもあるとのこと。

「それでもいいですか?」

そんなこと・・

そんな難しいこと・・

どっちがいいかなんて選べない。

「とにかく、今できる限りの治療をお願いします。」

その後、脳梗塞のせいで自力で唾液を飲み込めず、誤嚥性肺炎になってしまう。39度近い高熱。これが予想以上に悪化してしまう。

主治医の先生に「このまま肺炎が悪化したり、このまま喉の働きが回復しないと呼吸が苦しくなったりして命に関わることになります。そうなったら人工呼吸器をつけることになりますが、それについて元気な時になにか聞いていませんか?」

そういったこと、全然話してきてなかった。

いつかのこういうことをちゃんと話しておかなくては・・と思ってはいたけど、話題にするのに抵抗があった。

「今、言えることは・・私はまだ生きてて欲しいです。」

なんて伝えたらいいの?

2022年3月8日 ときどき雪

13:28 朝から何も食べていないことに気づく。私がしっかりしなくてどうする!食欲もないけど無理やり口の中にごはんを詰め込む。

14:01 病院に電話。耳元に電話を持っていってもらう。目はパッチリ開けているとのこと。私の声に「はい」「はい」と相槌。最後に何か言ったけど聞き取れなかった。

施設に衣類や郵便物などを取りに向かう。深いザラメ雪に足が取られて転ぶ。痛くもないけど涙が出てなかなか起き上がれない。しっかりしなくては。その後病院に行く。

詰所から看護師さんが降りて来てくれ、手紙と写真と病気平癒守など渡してもらうようお願いする。iPadがあればビデオ通話ができるかもしれないことを知る。

18:50 病院に電話。耳元に電話を持っていってもらう。ごにょごにょと、昨日よりちょっぴり長い言葉を話した。後からボイスレコーダーを何度も聞き返す。

「なんか たべるものを たべたいとおもってる」

食欲も出て来たよう。このまま回復に向かってくれたらいいな。

でも・・・

もう口からは食べられないかもしれないことを、なんて伝えたらいいのだろう?

私の愛する人

2022年3月7日(月)

14:03 病院に電話。看護師さんに状況を聞く。酸素を補わなくても95後半くらいとれているので、一旦止めて様子をみている。ただ相変わらず痰が多く30分~1時間おきに吸引で取っている。熱は上がって38度、上がったり下がったり。

電話を耳元に持っていってもらう。

「ポール、レイだよ、わかる?声聞こえる?」(※私はこの人のことを「ポール」と呼んでいる。電話が看護師さんに筒抜けなんだけど、なりふりかまっている場合じゃない)

「聞こえるよ。」

「昨日より喋れるようになったね。」

「うん。」

「会いたいよ。会えないから電話したよ。」

「うん。」

「もう少しがんばってね。」

「うん。」

「ポール、愛してるよ。いっつも愛してるからね。」

「うん。」

「また電話するよ。」

「お願いします。」

「それじゃあね。またかけるよ。がんばってね。」

16:40主治医の先生から電話。37度台の熱は出ているけど、呼吸状態は落ち着いている。今までマスクで酸素を送っていたけど、今は酸素を止めても呼吸は大丈夫な状態になっている。点滴の治療を続けて経過を見ていくとのこと。先生、どうかよろしくお願いします。

18:55病院に電話。耳元に電話を持っていってもらう。昼間よりまた話せなくなっている。

私が声をかけている間ずっと

「ど・・・・・」

「ど・・・・・」

「ど・・・・・」

と繰り返している。

私の声と重なってさらに受話器だからなおさら聞き取りにくい。

「ど」の後ろがかすれて聞こえない。

後からボイスレコーダーを聞き返してみたら、

「どこにいるの」

「どこにいるの」

「どこ・・・・」

「どこ・・・・」

「ど・」

会いたい。なんとしてでも会いたい。

コロナがにくい。